都賀コミュニティセンター（以下：都賀コミ）指定管理者アクティオ株式会社の自主事業特別企画として、「加曽利貝塚 講演会」が開催されました。
・日時：３月１９日（火）10：00～11：30
・会場：都賀コミュニティセンター　２階　大ホール
・講師：加曽利貝塚博物館　館長　高梨 俊夫 氏
・演題：「世界の目で見た加曽利貝塚」 ― 特別史跡加曾利貝塚の人類史的価値

都賀コミと敷地を接して住む加曽利貝塚ガイドの会員（かそりガイド）が中心になって、近隣町内会に講演会開催回覧板を回し、また、自らも会員になっている若葉ウォーキングクラブ（メンバーは約７０人）に積極的に開催案内をいたしました。（当日聴講者　６０余名）

都賀コミュニティセンター

平成３０年４月都賀コミのリニューアルオープンの時に、外壁に加曽利貝塚のPRパネルが設置されました。

講演会当日、かそりガイドは講演資料を手渡すなどの受付を担当し、また多数が聴講しました。

「世界の目で見た加曽利貝塚」 ― 特別史跡加曾利貝塚の人類史的価値

◆ 講演内容
1.貝塚研究史
2.加曽利貝塚の実態
3.加曽利貝塚と同時代の世界各地のモニュメント
4.加曽利貝塚と同時代の国内各地のモニュメント
5.世界史的視点からの環状貝塚の理解

講演聴講後の感想
加曽利貝塚は大型の周堤状環状貝塚が2つ繋がった”8の字形の大規模記念物”である。全国各地で発掘調査が進み、特に関東では環状貝塚、環状盛土遺構が多く、石川県真脇遺跡では環状木柱列があり、秋田県は石を円形に並べた大湯環状列石、北海道は周堤墓などの環状記念物の事例がある。
一方、ヨーロッパのヘンジコンプレックス、北米のマウンドコンプレックス・シェルリングコンプレックスなど（加曽利貝塚と同時期の）世界各地の大規模記念物で、夏至や冬至の太陽の出入りとの関係性が示唆され、国内の周堤状環状貝塚・環状盛土遺構との共通性が認められる。
国内の貝塚研究に当たり、海外の遺跡事例が比較研究されるように、当然、海外の研究者も加曽利貝塚を研究対象にすることになるのだろうと思いました。
事実、昨年加曽利貝塚で行われた早稲田大学考古学研究室の夏季実習に、英国ヨーク大学研究員のハリー・ケネス・ロブソン博士が同行され、発掘調査に参加されました。

 ★ 世界史的視点からの環状貝塚の理解
平成31年3月現在の仮説として、次のようにまとめられました。
環状貝塚は
1.BC3000年～BC1000年ころの
2.世界各地で構築されたモニュメント（大規模記念物）の一類型であり、
3.拠点集落で長期継続的に造営され、太陽の再生と生命の再生を重ね合わせる信仰の痕跡である。
4.モニュメントの形成と祭祀は、部族社会を複雑化させ、イデオロギーと交易経済により権力者を生み出していった。

平成30年度 発掘調査 と グランドデザイン

◆ 加曽利貝塚博物館 企画展「特別史跡加曽利貝塚 平成30年度発掘調査速報展」　展示期間　　2019年3月16日（土）～5月26日（日）

高梨館長は加曽利貝塚博物館で開催中の平成30年度発掘調査速報展について紹介されました。

85号住居跡から同時に発掘された3本の石剣や、平成29年度に続いて出土した精工な土製耳飾など親しみやすい出土品もあり、一見の価値があります（かそりガイド）。

◆ 特別史跡加曾利貝塚 グランドデザイン

「貝塚として初めて国の特別史跡に指定された加曽利貝塚と、その周辺地域における一体的な整備活用の将来像を描いた特別史跡加曽利貝塚グランドデザイン」が公開されていますが、講演の終わりに当たり、概要を紹介されました。